6001年1月の最新ニュースまとめ その2

はじめまして、文字ノ泉ニュース最新ニュース担当になりました、ローマ=ヘボンです。もう2月ですが、1月の最新ニュースをまとめてお知らせします。

6001年1月最新ニュース

・野外生活者の保護、呪い罹患者の護送…勇者隊の新しい役割

呪い負け妖怪退治などで知られる勇者隊だが、冬季の活動が盛んになっている。勇者隊は羽なし妖精族を主軸とした公益活動チームである。勇者隊は呪いに強い体質を持ち、伝統的に呪い負けした魔族や人類の退治を担ってきた。

近年は冬場の出動が増加。難民を中心とした野外生活者の保護や、呪い罹患者を治療院に護送するなど、呪いに強い体質を生かした役割を担っている。

勇者隊を20年以上続けるゼルダジャナイン3世さんは「夏場は妖怪退治、冬場は呪いからの救出と、活動の幅は広がっている。呪いに気をつけつつ、助けを求める人が居る限り出動し続けたい」と語っている。

・予報は例年並みなのに…呪い患者減少の謎 耐えるより相談を

医学解呪師連携協力委員会の発表により、今期の呪い罹患者が平年に比べて著しく少ないことが分かった。

昨年夏の呪い予報によると、今期の呪い流行は平年並みであった。しかし実際の呪い罹患者数は前年比で半減。医療者からは「不可解な現象」との声が上がっている。

解呪師協会理事は「今年の呪いは勇者病と断罪病と呼ばれる呪いです。この種の呪いは、罹患者の病識が乏しいのが特徴です。根拠なく自分が正しいと思い込み、家族にもゆがんだ正しさを強いるのです。普段善行を積んでいる人が罹患すると、呪い由来の詭弁に家族が騙されてしまい、理不尽なあらゆる暴力を受けながらも耐え続けるという哀れな状況に陥ることがあります。冬ごもり期間は外部との接触が少なくなりますが、家族が取って付けたかのような意味不明な正義をこね回し始めた場合はお近くの解呪師か治療院に相談してください。」と、罹患者の少なさに安心しないように警鐘を鳴らした。

・魔科連携より三学連携 勇者病・断罪病の対応で魔科公に新機軸

魔科連携が叫ばれてきた治療業界に、新しい波が到来した。医学解呪師連携協力委員会(通称:治療連)は今期に流行した呪いの特性を受けて、従来の魔科連携に公益学を加えた三学連携の推進が必要だと提言した。

今冬流行している呪いは通称「勇者病」「断罪病」と呼ばれるもので、一見すると正義感が強く生真面目な人に見えてしまい病的な様子が分かりにくい。そのため治療機関へのアクセスが悪くなり、呪いを自覚しないままでDVや近隣住民とのトラブルが深刻化してしまうことが多い。

こういった呪いに対しては従来の治療者・機関だけでなく、福祉サービスや神殿などの公益専門職・機関との連携が欠かせない。治療連はこれまでの魔科連携の治療体制を見直していく方針だ。

治療学に詳しい専門家によると、「治療領域、特に医学界は公益機関や公益専門職を下部組織あるいは外部組織とみなしてきました。今回の方針はこの態度を全面的に見直すことを意味し、大変画期的。三大ケア学として協力し合っていけば様々な疾病や呪いに対処できるようになるでしょう」とのことだ。

・呪い除けに白菜配給?!M4自治体家族で団らんで防呪促す

西魔法大陸のハーベシア、トリトニア、レンジアの3市が、呪い除け策として市内全戸の家庭に毎週1玉白菜を支給すると決定した。今期流行の呪いを防止するには家族団らんが有効とのことで、鍋の材料に欠かせない白菜を無料支給する。

弊紙の取材に対し、3市の防呪対策室担当者は「家族でお鍋を食べながら、楽しく冬ごもりを乗り切ってほしい。鍋が続いて尋常でない文句を言う家族が出た場合は、治療機関に相談してほしい」と回答した。

なお、住民の反応は白菜配給に概ね好意的。しかし「ちょっと多すぎるかも」と困惑する声も聞かれる。

・離職率90%の治療院も解呪師めぐる厳しい現状

呪い治療を専門とする治療院の経営が危ぶまれている。原因は主に人材不足で、治療を担う解呪師の離職率が上昇しつづけている。魔法使い協会解呪師分科会の調査によると、6000年の治療院の平均離職率は38%。中には90%の離職率で閉鎖に追い込まれた治療院もあった。

このような高い離職率の背景には、①過酷な業務内容と②周囲の無理解があるという。

解呪師の離職率を高める第一の理由は、業務内容にある。解呪師は科学系の治療専門職と異なり、治療過程で自分に呪いを引き受ける。解呪は心身ともにリスクを伴う処置であり、解呪師を継続するには日ごろから手厚い休息とサポートが必要だ。しかし解呪を要する罹患者が増加する冬場には十分な休息が取れず、心身の不調に悩まされる解呪師が少なくない。

また、医療機関が母体の治療機関では解呪師が医学ヒエラルキーに無理やり組み込まれ、給与や休暇が解呪師としては不十分である場合も多い(これを不適切な平等措置という)。結果、解呪師は過酷な業務に追われる生活を続けることとなり、就業期間が短くなってしまうのだ。

第二の理由は周囲の無理解である。解呪師は解呪に伴う精神的ダメージを軽減するために、特有のふるまい(解呪師作法)をとることがある。皮肉・嫌味・あてこすり・罵倒といった態度は解呪師が呪いから身を守るための行動であり、職業倫理規定に定められた内容であれば解呪過程として合法である。しかし解呪師作法は医療現場との相性がすこぶる悪く、患者からの評判を気にして禁止する治療機関は増加している。

市井の住民からの差別意識も根強い。解呪師は独特の治療法と高額な治療費から、歴史的に尊敬と軽蔑を同時に向けられてきた。現在もその風潮は残っており、「解呪師と話すと呪いがうつる」であるとか「解呪師は性格が悪く守銭奴」だといった噂が絶えない。公益的な仕事であるにもかかわらず、解呪師は自分の職業を世間に明かしたくないという人が多い。

魔法使い協会は解呪師への誤解をなくすことが世界全体の公益につながるとして、差別撤廃を訴えている。

・治療関係者専用リラクゼーション施設が人気 病院近隣ジムの冬の顔

呪い治療に追われる治療関係者のために、専用リラクゼーション施設を運営している企業がある。

PHGは旧北側系のPH社の分社で、普段はトレーニングジムを経営している。外出を控える人が多い冬場はジムの利用も落ち込むため、治療機関近くのジムをリラクゼーション施設に変更。利用者を治療関係者に限定して好評を博している。

冬季は呪い治療にあたる関係者への手厚いサポートが必要とされる時期だが、残念ながら世間の風当たりは強い。呪いがうつるのではないかという理由から普段通っている施設を利用できなかったり、自粛せざるをえない人も多い。PHGはそういった風潮に苦しむ治療者を応援するため、限定リラクゼーション施設をオープンしたという。

PHGのオク⇔サーン会長は、「同業他社がジムの入り口で会員さんと解呪師か解呪師じゃないかで延々揉めていたのが悲しくて、治療者限定のリラクゼーションを始めました。治療関係者の皆様が少しでも元気に仕事に向かってくれればと思っています。」と語る。