始祖神と首相の熱愛 問題ないのか? 元祭司に聞く

イディア首相と始祖神の熱愛疑惑 何が問題なの?

始祖神と魔境帝国のイディア首相に熱愛疑惑が持ち上がっている。秋議会では首相に黙殺されてしまった疑惑だが、市井では大きなスキャンダルとして扱われている。

疑惑の真偽を憶測する声は言わずもがな、「神々の人間の熱愛が許されるか?」といったそもそもの前提にまで賛否両論が巻き起こっている。

神々と人間は恋愛関係にあっても問題が無いのか?どうして始祖神とイディア首相のケースは秋議会で問題視されたのか?自然神教と法律に詳しい、東部神学研究所のP氏にお話を聞いた。

法律上は禁止されない神と人の恋愛

記者:イディア首相が秋議会で始祖神と熱愛関係にあると指摘され、話題になっています。神々と人間の恋愛は違法ではないのでしょうか?

P氏:神々と人間の恋愛は、神則、人法ともに言及されていません。「アリかナシか」ということ自体書かれていないわけですから、違法でもないというのが法学的見解です。

記者:法律では神々と人間が恋に落ちても良いかということは、何も決まっていないのですね。

P氏:はい、そうです。それを法律で規定すると、むしろその法律が人神分離協定に違反してしまうおそれがあります。

協定では「神則では人の、人法では神々の内的活動を禁止または指定してはならない」と定められています。神々の御心と人々の心を包括して規定できる法律は制定できないんですね。

ただ、婚姻に関しては各国の法制度によって規定されています。こちらに関しては、法制度によっては禁止することも可能です。

自然神教の元祭司に聞く 神々の恋愛事情

神々と人間の間には、法律上の恋の障壁は無いらしい。しかし神々と付き合ったことのある人というのは、比喩的表現を除いてほとんど聞いたことがない。

神々と人間の恋愛が実際にあるのか、元祭司で作家のバンズファファ氏にお話をきいた。

Q、神様は恋愛するんですか?A、神々も普通に恋愛しています。相手は人間か精霊のことが多いです。

記者:神々と人間が恋愛することに違法性はないのですが、実際に神と人が付き合うなんてことがあり得るのでしょうか?

バンズファファ氏:神々は神領内で過ごすため、ほとんどの世界市民にとっては出会うことのない存在です。しかし、歴史的にも現在の実情としても、神々は恋愛をしています。それこそ人間の若者と同じようにです。

記者:そうなんですか!神領内でも出会いがあるんですね。

バンズファファ氏:南側諸国には神領が少ないですが、神庭島なんかは神領と人領地の境が入り乱れていますから。神々と人が相まみえるのは、そこまで特別な機会と言うわけでもありません。「呼ばざれば会わん」の世界ですね。

記者:お相手はどんな方なんでしょうか…?

バンズファファ氏:どういった方、と具体的にお話するわけにはいきませんけども… まあ、属性としてはあらゆる種を含めた人間、あとは精霊と呼ばれる古式の神々ですね。

Q、神様と恋愛しても罰当たりでは無い?A、神々と心が通じ合えば問題ないでしょう

記者:神様と恋愛というのは、おそれ多く罰当たりだと考える人もいるかと思います。違法でなくても神学上と言いますか、祭司の方の見解としてはどうですか?

バンズファファ氏:祭司とお付き合いする神々もいらっしゃいますし、心が通じ合えば問題ないのでは?

記者:はあ、そういうものですか…

Q、結婚している神様はいますか?A、火神と地母神は宗教的理由で常に妻帯しています。

記者:恋愛というと、次に意識されるのは結婚です。神々と人は結婚することがありますか?

バンズファファ氏:もちろんあります。

まず、火神と地母神は宗教上の規則により常に妻帯しています。火神は男女一人ずつの伴侶を持ち、地母神は妻を数名娶ります。どちらも形式的な婚姻だと思われがちですが、お見合いなどは毎回真剣に取り組まれるそうですよ。

他の多くの神々も神庭暦が始まって以来、何度も結婚されています。水神様がバツ5*1なのは、祭司の間では有名な話ですね。

記者:神々と人間の恋愛や結婚と言うと、禁断の!というイメージがありますが、人目をはばかる必要はないことなんですね。

バンズファファ氏:神々と人間の結婚と言うと、神庭記の夕暮れの譚が有名ですからね。そうは言っても、あれは1970年代のお話です。今とは全く状況が違いますよ。

記者:仮に始祖神が結婚なされても、暗黒神の怒りを買うことはないということでしょうか。

バンズファファ氏:まあ、あの神も何度か結婚しておいでですからね。神々も我々と同じように自由恋愛の時代なのですよ。社会通念上、神々との恋愛や結婚が認められない地域もあるでしょうが、それは神々のあずかり知らぬ問題といえるでしょう。

記者:問題視しているのは神々よりもむしろ、人間の側ということですね。

バンズファファ氏:人々にとって恋愛や結婚は一種の拘束を伴いますから。大いなる存在と一人だけ特別な関係になるということを問題視する人は少なからず存在すると思われます。

神々と人の恋愛は法律・宗教ではOK

専門家への取材により、神々と人間の恋愛・結婚の可否が明らかになった。現在、神々と人の恋愛は法律上宗教上特に問題はないようだ。

神々と人間の恋愛に問題があるのかないのかは、人間の側にゆだねられているのかもしれない。

*1:出泉語。離婚歴の単位。