異界者のためのweb講座 神庭記ってなに?編その5~神庭記 第四譚・人神戦争~
今話題の神庭記とは? わかりやすく解説!
異界の皆さん、こんにちは。文字の泉新聞・文字の泉ニュースの神報担当、ウ・オーです。
最近話題の歴史書「神庭記」について、わかりやすく解説してみます。
今回は神庭記の第四譚「人神戦争」について説明します。
第四譚は人と神の戦い 神殺しや神罰まで記録された
神庭記は4つの譚で構成されています。①神庭神話、②昼夜戦争、③昼譲時代、④人神戦争という分け方が一般的でしょう。
第四譚は人と神の10年戦争を中心とした記録です。戦争の背景となる社会情勢の記録や魔封到来の記録を含め、20年余りの出来事が記録されています。
この譚で2000年にわたる神庭記の記録は途絶えています。神庭記の記録と同時に神庭時代は終わりを迎え、世界は長いユキとモドリの時代を迎えることとなりました。
第四譚 人神戦争の内容
第三譚で紹介したように、神庭王を中心とした神々の治世は1900年近く続きました。
神庭王は人々と世界の調和を重んじ、あらゆる知識を神々の判断に基づいて徐々に解放しました。これに対し1900年代の後半から反発が強まり、人々は人間の世界を希求するようになっていきます。
人神戦争の背景
人神戦争を引き起こした背景には、当時の社会情勢が影響を与えていると言われています。神庭記に記録されている当時の世相としては次のような特徴があげられます。
長く続いた安定した世界に疑問を持ち始める人は、1900年代から急増したということです。泉書の知識が底をつくという噂や、神々は人を支配するために魔法を独占しているといった噂が立ち始め、次第にそれを信じる人が増えていきました。
人間同盟(人間軍)
1900年代半ばには人間同盟という反体制派の軍が組織され始めました。
人間同盟は「世界は本来、人の思考の重なりによって生ずるものである。神々は古代の人々の共同妄想の産物であって、今となっては無用の長物。人より出で人を縛る、思考ゴミである。我々は世界の支配権を人間の下に取り戻し、真なる自由と調和の世界をもたらさんとする。」
という目標を掲げ、支持者を獲得していきました。
人間同盟は共通の敵を作り士気を高めることを得意とし、人類史上初めて科学人と魔法人をまとめ上げることに成功しました。人々は神々を、知識を独占し世界の発展を妨げる存在として敵視しするようになっていったのです。
始祖神の結婚と庭師の処刑
人間同盟の活動家活発化した1980年代後半、人神戦争の引き金になる出来事が起こりました。昼神神殿にて穏やかな日々を過ごしていたはずの始祖神と昼神神殿付きの庭師が、極秘裏に結婚していたことが分かったのです。
庭師は先祖代々、昼神神殿の神の庭を守る家系の出身でした。分不相応の行動を報告もなく起こしたことは、人神を問わずの大問題となりました。
特に昼神の対神たる夜神の怒りはすさまじく、庭師を独断で処刑。最も重い神罰である赤き箱の刑に処してしまいます。
夜神が一個人に対する神罰を独断で執行したことは人々の強い反発を招き、夜神の所業を事実上黙認した神庭王への非難も凄まじいものとなりました。
人間同盟は「神々はすでに厄神である」と宣言し、神々に対する戦争を始めました。
神妃の裏切りと神殺し
人間と神々の戦争は、教会の襲撃から始まりました。自然神教の拠点となる街や施設が襲われ、祭司や信徒たちと争いになりました。
教会が一方的に被害を受けたイメージがありますが、実際にはどちらも同じ位の軍事力を持っており、過酷な戦いが続いたと言います。数で勝る人間同盟がじりじりと占領地を広げ、神殺しの機運が高まり始めました。
しかし神殺しは特殊な条件と手続きを踏まずしては実現しない、至難の業。「神々は無限の生命を宿し、体は朽ちることなく、魂は消えることのない存在」なのです。それを殺すならば、「神々が失えば存在を支えられぬような信じあう者の裏切りの刃」が必要でした。人間同盟は神殺しの条件をそろえることができず、戦況は一進一退を繰り返しました。
人間同盟は神庭王の妻を長年の説諭により取り込み、夫であり神々の王である太光神を暗殺させました。神妃の裏切りに動揺した太光神(=神庭王)は命を失いかけますが、始祖神が身代わりになることで一命をとりとめます。
人間同盟は当初の狙いとは外れますが神殺しを達成し、人神戦争に勝利したのです。
人間の自治と魔封
人神戦争の終結後、神庭王はその地位を放棄し、太光神として人々と協定を結びました。
協定では、①神々が治める地「神領」と人々が治める地「人領地」を分け、②人領地では人類の自治を認めることが取り決められました。
また、③南北に人々が支配するための世界を広げ、これまでの世界を神庭島と名付けることに決定しました。④神々は神庭島の神領から出ることなく、人間社会の自由な発展に干渉しないこととなりました。
こうして人類は念願の自ら支配する世界を手に入れたわけですが、ことはそううまくは行きません。これまで世界を支配していた神々の威光は神領のみにとどまり、人領地で人類は過重な労働にさいなまれることとなりました。
加えて神々の加護の下そびえたっていた様々な施設は崩れ去り、人類の文明ははるかに低く衰退してしまいました。
魔法使いは神殺しの咎により世界契約をほとんど破棄され、魔法を封じられました。
神々の下に戻ろうとした人々もいましたが、人神の領が分かたれた時にその扉は固く封じられていました。神々の恵みを求めた人々は、神領にとどまった数少ない祭司や信徒たちが豊かに暮らすのを見ることしかできませんでした。
人々は神々の怒りを買ったと理解しましたが、その許しを得ることは難しく、自力で遅々とした歩みを続けるほかありませんでした。
神庭記はここで記録が途絶えています。筆者である賢トコリナのゆくえも、この時期に途絶えています。一説によると、トコリナは始祖神を呼び戻す方法を人領地に求め、魔法と神々の加護なき世界で生涯を終えたと言われています。
これで神庭記はばっちり!
いかがでしょうか。神庭記の第四譚の内容を説明しました。
神庭王の治世は長く続きましたが、人々は自らが支配する世界を求め神々に戦いを挑みました。神殺しによって戦争は終結し、人々は自治を手に入れました。しかし魔法や神々の加護を失い、文明は崩壊し過重な労働にさいなまれることとなりました。神庭時代は終わりを迎え、人々はユキとモドリを繰り返しながら文明を進歩させるしかなくなったのです。
これで神庭記の内容はばっちりですね!旅行の際には神庭記についてのお話で通を気取ってみるのも面白いかもしれません。
神庭記についてもっと詳しく知りたい方には、文字ノ泉文庫の『神庭記・編』がおすすめです。異界の方向けには鋭意準備中となっておりますので、続報をお待ちください!