DEBFY+に逆風?”あえて魔族”を自称する人急増
世間に定着したと思われている魔族の呼称”DEBFY+”が逆風にさらされている。
魔族をあえて自称する個人誌が増加
個人誌上で自分をあえて「魔族だ」と言い切るのがブームになっている。DEBFY+の呼称に違和感を覚える若者の間で始まった流行だが、いまや魔族全体に広がっているらしい。
”あなたはDEBFY+のどれなの?”つのる違和感
若者たちがあえて魔族の呼称に回帰するのはなぜか?その理由として、「DEBFY+にアイデンティティを感じられない」といった言い分がよく挙げられる。
ブームの火付け役となったヤムダマリナさんは個人誌上で、
「私は人魚だが、「DEBFY+のどれなの?」と問われると答えに困ってしまう。正しい分類とされるD(悪魔族)にはしっくりこないし、かといって+に押し込められるのは納得がいかない。DやEやBに並ぶグループとしてM(マーメイド)がない以上は、私の所属するグループは魔族だ。」
と綴っている。
素朴な仲間意識を分断する「正義」 強まる息苦しさ
ヤムダさんは「街中で魔族を見かけると、素朴な仲間意識を感じる」が、それをDEBFY+の呼称が抑圧していると指摘した。
「魔族として連帯できていた獣人や妖精に、Dの私は大っぴらに声をかけられなくなってしまった。だって、他のグループの魔族に声をかけたら後進的な人だと思われてしまうでしょ?魔族をDEBFY+と呼ばなきゃならなくなってから、私には悪魔的な友人しかできないの。」
どちらかというとトカゲ系の獣人に親近感を覚えるというヤムダさんだが、DEBFY+の別グループに属する人との交友関係に制約を感じながら生活している。
DEBFY+は魔族の多様性をその他の人々に感じさせるには良い表現だ。しかし、以前の呼称である”魔族”に差別的な印象をまとわせてしまったのかもしれない。
魔族界にもモドリの風 新しい世界が拓けるか?
現在ヤムダさんは、同じような考えを持つ魔族の人々とDEBFY+のグループを気にしない交流を深めている。
「あえて魔族」の仲間たちは若い年代が中心。非魔法人に理解してほしいという気持ちよりも、自分たちが何者なのかを大切にしたいという気持ちが強い。
DEBFY+運動は魔族が非魔族に対して理解を求めた、外向きの動きだった。しかしヤムダさんらの活動は、内向きの動きを重視している。
ここ10年近くユキの風潮にあった魔族界に、モドリの兆しが見え始めた。魔族たちが新たな世界を拓くのも時間の問題だろう。