非魔法人から大魔導士昇格! メルクメラルド氏 最速独占インタビュー

全魔検前に昇格内定 今年の新大魔導士は2人

全世界魔法使い能力検査を前に、大魔導士内定者が発表された。大魔導士が誕生するのは30年ぶりとなる。

今年の昇格内定者は2名。魔境大陸出身のメルクメラルド一級魔術師と、同じく魔境大陸出身の5代目テレポータ一級魔術師である。

2名が同時に大魔導士に昇格したのは、およそ200年ぶりのことである。

内定者インタビュー2 メルクメラルド

今回は60歳で魔法使いの才能に目覚めたという異色の経歴を持つ、メルクメラルド氏にインタビューした。

以下はインタビュアーの報告である。

宝石魔法使いからひさびさの大魔導士が輩出

記者:今回は昇格おめでとうございます!

メルクメラルド:ありがとう

記者:宝石魔法使いからは、魔晶石の大魔導士フレイバード以来の大魔導士昇格ですね!

メルクメラルド:歴史上の大魔導士と並びたてられると、なんだか不思議な気持ちになってしまうわね。あちらは天才魔法使いで、こっちは普通のおばあちゃんですし。

記者:いえいえ、メルクメラルドさんは世界一の解石技術の持ち主ですよ!

メルクメラルド:そうねぇ、ばあちゃんは未だに魔法使いの自覚が無いのよ。ばあちゃんになるまで普通の人だったから。

60歳まで非魔法人として生活 異色の経歴とは

記者:(前の話を受けて)そうなんですよね。メルクメラルドさんが60歳まで非魔法人の技術者として暮らしていたのは、魔法社会でも有名です。

どうして魔法使いとして生活されなかったのですか?

メルクメラルド:気づかなかったの!

記者:えーっ!なぜ!?

メルクメラルド:私が生まれたころは、魔境帝国では出生時診断なんてしなかったの。この国では魔法人の親戚なんて珍しくないけど、それでも魔法使いなんてめったに生まれないでしょ。

記者:でも、大魔導士になるほどの方なら日常生活で気づきそうですよね…?魔法発電に関わるチームの科学系技術者だったとお聞きしていますが、業務にも支障が出そうです。

メルクメラルド:それがね、全然気が付かなかったの!私は宝石魔法と水魔法の素養があったみたいなのだけど、生活に全く支障が出なくてね。

魔法石や宝石を触ることなんてめったにないし、水魔法って案外気づかないものなのよ~!

記者:それでは全く魔法を使ったことがなかったんですか?

メルクメラルド:気づかないうちには、使っていたみたい。私が炊いたお米はおいしいと評判だったし、煮物で失敗したことは一度もないわ。

それと、仕事でも知らないうちに使っていたみたい。私は魔法粒発電のメンテナンス技師だったのだけど、私がクリーニングした魔晶板は他の人には真似できないくらい、すごくきれいだったのよね。

記者:同僚からは指摘されなかったのですか?

メルクメラルド:現役時代は全く。手先の器用なオバちゃんだと思われてたから。

記者:なんとも数奇な人生ですね…

定年後、大魔導士の指摘で魔法使いだと判明

記者:長年魔法機械系の仕事に携わりながらも、全く魔法使いの才能に気が付かなったわけですね。では、どうして60歳にして魔法使いだと分かったのでしょうか?

メルクメラルド:60歳で仕事を引退したの。それがきっかけよ。

記者:引退で魔法使いが判明ですか?

メルクメラルド:そう!引退する前に後輩にメンテナンス技術を引き継いだのだけど、誰も魔晶石板のクリーニングの質が維持できなかったらしいの。

それで所長が焦って、私に電話をかけてきたの。「キミはどんな名人芸で45年も魔晶石板を磨いていたんだ!」って。

記者:所長というのは、魔法粒発電の大魔導士ポクテンジン・ラクテンニンのお二人ですね。

メルクメラルド:そうそう。現役時代には一度も会ったことは無かったのだけど、引退してから呼び出しがかかっちゃって。所長の目の前でクリーニングをすることになって。

記者:その時に魔法使いだと判明したと。

メルクメラルド:そうそう。「ちょっとしたコツですよ」と言ったら、所長が「それはコツではない!高度な宝石魔法だぞ!」って。

記者:驚かれたでしょうね。

メルクメラルド:驚いたどころか、怒ってしまって。科学部長と魔法学部長が同時にクビになってしまったのは気の毒だったわね。

魔境帝国の秘宝を解石 エターナルビヨンド仮説を提唱

記者:メルクメラルドさんはその後、ポクテンジン・ラクテンニン大魔導士の下で魔法を学ばれたんですよね。

メルクメラルド:ええ。魔法学校は馴染めそうになかったから、所長の下で働きながら学ぶことにしたの。所長は帝国中の魔法関係機関に顔が利くから、色々な分野の魔法使いに教えていただけたわ。

記者:大魔導士はメルクメラルドさんの才能を見抜いてらっしゃったんですね。

メルクメラルド:そうみたいね。帝国の秘宝を解石させてくれたのも、所長だったわ。

記者:あの有名なエターナルビヨンド仮説ですね!

エターナルビヨンド 誕生の秘密

メルクメラルド:そうそう。帝国の秘宝の一つをクリーニングしたときに、映像が見えて。所長に報告したら、解石許可を出してくれたのよ。

解石で引き出せた膨大な情報は全然解明できていないけれど、魔境帝国が同じような歴史を何度も何度も繰り返していた可能性は見えてきたのよね。

記者:論文が発表されて20年、今ではかなり一般に広まっていますね。

メルクメラルド:ドラマのおかげでね(笑)

記者:魔法学論文がドラマになるのは異例のことですね

メルクメラルド:テレビン局の方が来たときは驚いたけれど、玄孫ちゃんが楽しんで観ているようだから良かったなと思ってるわよ。

記者:大魔導士に昇格して、ますますエターナルビヨンド仮説を知る方が増えそうですね!本日はありがとうございました!

新大魔導士の昇格表彰式はマジックフェス閉会式で!

2回にわたって大魔導士内定者のインタビューをお届けした。新大魔導士の正式な昇格は、7月末日マジックフェス閉会式にて行われる。

魔法機械系で非魔法人の経歴を持つ大魔導士が2名も誕生したことで、魔法社会も様変わりしていくのだろうか?両人の活躍に期待しよう。