”政府の子供たち”の今 難民受け入れを困難にする思想国家観とは
難民と受け入れ地域でトラブル多発
北側諸国の難民支援が叫ばれている昨今、すでに難民受け入れを開始した地域では市民間のトラブルが多発しているという。
南北市民のご近所トラブルの内容は多岐にわたる。ゴミ捨て場の使い方や売買契約書の仕様など、あらゆる場面にイザコザの種はあるようだ。
「押し付けがましい北の民」「テキトーな魔境人」互いの偏見解消できず
トラブルの表面的な様相は多様であるが、その詳細を紐解くと、原因は共通しているように思える。それは南北市民のイデオロギーの違いである。
厳然たるルールに従い秩序を維持するのを良しとする北側市民に対して、南側市民は規則をできるだけ緩和し人々の社会正義に対する良心の発露を促そうとする。
こういった違いが「北側の民は一方的な価値観を振りかざして押しつけがましい」あるいは、「魔境人は秩序が無くテキトーである」といった偏見を強化しているのだ。
北側市民に特有 思想国家観とは?
価値観の違いを原因とした住民トラブルを解消するためには、双方の価値観について理解する必要がある。
今回は移住者として理解されない立場に置かれることが多い北側市民の価値観について、掘り下げていこう。
思想国家制度の背景にある思想
北側市民には社会について共通した価値観を持っていると考えられている。それは「思想国家観」と呼ばれている。
「思想国家」という言葉の通り、この価値観は旧北側諸国が採用していた思想国家制度の下で醸成された。
旧北側諸国は「すべての非選択条件を選択条件にすることが人類の進歩する方向である」という思想の下、思想国家制度を創設した。ただし制度を維持するためには、「全ての国が他国に比類無き非凡な特徴を携える」必要がある。*1
要するに、北側諸国はそれが人類の進歩と信じて、同じ思想を持つ人々を集めた小国を作った。そして、小国のキャラが被らない状態を維持する必要があった。
そのために有効な価値観として人々に浸透していったのが、思想国家観だったといわれている。
思想国家観の特徴
思想国家観を持つ人には、次のような考え方の特徴がある。
- 「地域には守るべき厳然たるルールがあり、住民はそれを承諾している」と考える
- 「隣人は自分と同じ価値観を持っている」と考える
- 「地理的な距離=思想の距離」と考える
- 遠く離れた土地に住んでいる人々との交渉には細やかな配慮ができ、得意
- 身近な人々との話し合いを軽視する傾向があり、ご近所トラブルに不慣れ
- 家族、幼馴染、地元の仲間といった、生誕地の人間関係を忌避する
中央教育→選択就国を経験した世代に顕著
このような思想国家観は、旧北側諸国出身者の中でも60台~30台に顕著である。彼らはいわゆる「政府の子どもたち」世代だ。
旧北側諸国の中央教育と選択就国を経験し、思想国家制度の影響をより強く受けてきた。
大いなる力に過重なストレス感じる傾向
思想国家観を持つ人々は、災害に非常に脆弱であるとも言われる。彼らは「すべての非選択事項を選択事項に」という国家方針の下で生まれ育った。
そんな彼らにとって何の前触れもなく否が応でも生活に多大な影響を及ぼす災害は、精神的なダメージが大きい。
北側大陸の海没は、そこに住む人々にとってこの上ない危機だといえる。
相互理解のために良い所見つけて
北側市民と南側市民の間に頻発している住民トラブルは、それぞれの価値観の間にある大きな溝が原因である。相互理解を進め、溝を埋めていくことでトラブルは減少するだろう。
昔からいわれている事だが、互いを理解し合うためには、正しい知識とポジティブな見なしが必要である。
互いの考え方が理解できないときもあるだろう。そんな時は少しでも良い。相手の良いところを見つけるようにしてみよう。
*1:ワラジメイト(5681)『我が思想国家制度の展望』より