東部魔科学研究所ついに無干渉タイムマシンを開発!研究機関から実用開始へ
歴史干渉しないタイムマシン 東部魔科学研究所が開発
東部地区の魔科学研究所が“無干渉タイムマシン―ポポロン7号―”を発表した。これは世界初の大発明であり、気軽な時間旅行が可能になる。
無干渉タイムマシンとは?
ポポロン7号の特色である無干渉タイムマシンとは、どのようなものだろうか?その機能について、エコムズ王立魔法学校時空魔法専科のエビチャイ教授はこう語った。
エビチャイ教授:
これまでにもタイムマシンの開発は何度も成功しています。大きな声では言えませんが、実用化した例も…ゴホンゴホン
しかし、これまでのタイムマシンはすべて時間軸に干渉し歴史に影響を与えてしまう作用がありました。つまりね、時空を移動した際に移動先の歴史を変えて、違う時間軸を作ってしまうというわけ。
そうすると無駄に時空を消費することになるし、なにより時間軸間戦争なんかが起こるリスクが高まるでしょ。
だから歴史を変える機能を持つタイムマシンは倫理的な問題で実用できないわけです。
その点、無干渉タイムマシンはすごいですよ!時間軸に干渉せず時空を移動し、移動先での行動を消去して帰ってこられるんですから。
これで安全に時間旅行し、歴史を観測して帰ってくることができます。大規模な歴史実験も倫理的な問題が許せば可能になります。
教授の見解では、ポポロン7号はこれまでにない画期的なタイムマシンであるようだ。
臨床実験クリアし、ついに実用化へ
無干渉タイムマシンポポロン7号は時空管理室での歴史干渉実験をクリアして、倫理委員会の審査を通した臨床実験をクリア。
用途を研究目的に限定して世界魔科学審査会から実用化が認められた。
まずは研究用の歴史観察から実用化へ
理論上リスクのない時間旅行が可能になったとはいえ、いきなり一般利用は解禁されない模様だ。まずは研究者目的で実用化される。
まずは歴史干渉回避研修を終えた研究者チームによる、歴史観察から実用化される。
魔法学と科学の共同開発が結実
今回の発明の陰には、魔法学と科学の協力関係があった。魔法学と科学というと、学生時代に習った魔科分離の法則が思い出される。とかく相いれないものというイメージが強い。
しかし最先端の学術分野では、魔法学と科学は協力関係にある。世界魔科学会議は5973年に「魔科分離の法則を前提とした共同研究のガイドライン」を策定した。それ以来、魔法学と科学は友好的な共同研究を続けてきた。
突破口はなんと魔法動物学と生物学!
ポポロン7号の開発チームは当初、他のタイムマシン研究と同じように時空魔法学と物理学の研究者が中心となっていた。しかし、歴史無干渉システムを開発は正面突破では成しえなかったようだ。
歴史無干渉システムは、一見タイムマシンとは関係のない分野の研究が突破口となった。
研究チームの一員である物理学者が東部研究所内で知り合った魔法動物学者の飼育しているセイカイトキワタリを生物学的に分析したところ、歴史無干渉システムを可能にする行動アルゴリズムが発見されたそうだ。
一般向けの記者会見で研究チームの生物系メンバーF氏U氏はこう語った。
F氏:研究所内の合コンで物理研の研究員にナンパされたの。「タイムマシン作ってるんだ」って物理論を語られたときには、馬鹿じゃないの?って思ったわ。
でも歴史干渉の無干渉離脱について話を聞いた時に、うちで飼っているポポロポ*1の浮気テクニックを思い出したの。
あの子たちは一生同じつがいで過ごすんだけど、実はお互いに絶対バレない方法で浮気するの。その方法は…(研究機密にかかわるためコメントは打ち切りとなった)
U氏:実は去年、東部から去ろうと思っていました。科学研究所の中でも、動物行動学系の生物学者は肩身が狭くて…
「生物研は数学ができないヤツの掃きだめ」っていうのが口癖だった物理研のチーフが、土下座してきた時には何とも言えない快感でしたね。(会見はここで打ち切りとなった)
文字ノ泉新聞社もタイムマシン研究協力企業に名乗り 続報を乞うご期待!
東部魔科学研究所はタイムマシン研究の協力企業を募集している。歴史観察に長けたプロフェッショナルを外部からも呼び込むためだ。
われら文字ノ泉新聞社も協力企業に名乗りを上げている。歴史観察が可能になれば、創刊以前のニュースもお届けできるかもしれない。読者の皆様には続報を楽しみにお待ちいただきたい。
*1:セイカイトキワタリの現地名。