異界者のための用語解説〜地理はバッチリ編その1〜

大文字泉が開発スタート

モジノイズミニュース文化担当、ミコノマツバです。編集長から、異界の読者さんのための用語解説辞典「大文字泉」の制作を頼まれました。
サイト上部のメニューに追加されましたので、用語の意味が気になる方はご覧ください。

個別単元のWeb講座スタート

辞典とは別に、まとまった知識を得るためのWeb講座もスタートします。異界の方には耳馴染みのない言葉を中心に解説していきますよ。

今回は基本的な世界の地理について、小学生レベルで解説。学生時代に地理が嫌いだった方も必見です!

地理解説(トラウマのある方は閲覧注意!)

こちらが現在の世界地図です。個別の国名については大文字泉を参照してください。

海没大陸 世界の北半分にあったはずの大陸群

世界地図を見ると、上半分が青く塗りつぶされています。これは、かつて存在した(といってもごく最近まではあった)大陸です。

約10年前までは世界の北側には2つの大陸が存在していました。1つはソーシング大陸、もう1つは聖剣大陸です。どちらも大陸を支配していた国家の名を冠しています。

ソーシング大陸

ソーシング大陸は旧ソーシング連邦・中央政府の領土で、世界の北東部に広く位置していました。海没していなければ世界1の広さを誇る大陸です。

本来の気候は寒冷~温暖で湿潤傾向です。ただしソーシング連邦は思想国家制度を取るため、実際は各地で気候が大きく異なっていました。

聖剣大陸

聖剣大陸は旧聖剣教国の領土で、世界の北西部に位置していました。ソーシング大陸には及びませんが、海没前には魔境大陸と同等の広さがありました。

気候は寒冷~温暖で乾燥傾向です。聖剣教国は思想国家制度をとりますが、戒律で気候調整を禁じているため本来の気候がそのまま残っていました。四季のある国とも呼ばれています。

海没とは?原因不明の自然災害

これら北側にあった大陸は、地盤が崩壊して海の下に沈んでしまいました。人為的なものではなく、原因不明の自然災害によってです。

大陸が海の下に沈んでしまう現象を大陸海没、もしくは単に海没といいます。

5900年代に差し掛かったころから、世界の北側にある大陸の各所で海没が観測されていました。

はじめは科学的・魔法学的な環境汚染による海面上昇が原因と考えられていましたが、研究が進むにつれて地盤が崩壊して海に沈んでいることが判明。原因不明の地盤の崩壊となると人類による対処は不可能でした。

その結果、北側諸国は海没地域からの避難を余儀なくされました。

北側諸国が大陸からの避難を決定したのが、5994年5月。その半年後に大規模な急性海没が発生し、5995年3月には北側大陸群は全域が海没しました。世界の半分がわずか1年足らずで沈んでしまったのです。

現在、各国は常時大陸海没を監視しています。しかしすべての地域で海没減少は観測されていません。

海没地域に住んでいた人の行方

海没の被害は甚大で、海没地域に住んでいた人々の約30%が逃げ遅れが原因で亡くなりました。避難後の事故や疾病を原因とする海没関連死を合わせると、被害は人口の40~55%にも上るといわれています。

避難した人々は、大別して3パターンの経路を取りました。

空上離脱

空上離脱は、浮遊島と呼ばれる巨大飛行船に乗り込んで避難する方法です。国単位で避難するため、被害を一番抑えられる方法でした。

しかし浮遊島のコクーン内に居住できる人数には厳密な定員があり、全国民をカバーできるだけのコクーンを準備できる国は多くありませんでした。

また、コクーン内での国家運営が破綻する事例もありました。離脱以前に食糧や資源を他国に依存していた場合は、農業人口が確保できずに飢餓が発生することも多かったようです。

海上避難

海上避難は、船に乗って海没地域を離れる避難方法です。空上離脱にあぶれてしまった人々や、国家離散で空上離脱がかなわなかった人々が選択しました。船の性能や避難のタイミングで生還できる可能性が大きく変わる避難経路でした。

早めの海上避難を決断した人々は、東部地区・神庭島・魔境大陸の一部などにたどり着いた事例が多かったようです。当時は南北大陸間戦争の途上でしたが、彼らは捕虜または難民として救助されました。

5994年からの1年で起こった急性海没時に海上避難した人々は、80%以上が避難中に何らかの被害を受けました。生存確率はわずか20%だったともいわれています。

ワープ

ワープは、空間移動魔法によって海没地域を離れる避難方法です。理由があって北側大陸に居住していた南側諸国出身者が選択しました。ワープ避難をした人々の詳しい統計は出ていませんが、ワープ事故が無ければ最も安全な避難経路だったといえます。

ただしワープ魔法の制約により、ほとんどの北側大陸住民はこの避難経路を選択できませんでした。ワープ魔法は自分が行ったことのある地域にしか移動できないのです。

魔法使いの中で空間移動魔法を専門とするワーピストたちでさえ、一度に転送できるのは自分を含めて最大3人まで。ワープ避難は南側諸国出身者や、要人・富裕層にしか手の届かない避難方法でした。

5994年の急性海没時に、国の指令に逆らって無償で北側大陸の住人たちを避難させたワーピスト達の逸話「命の杖」は有名ですね。

次回は地理はバッチリ編その2!

いかがでしたか?今回は海没について基礎知識をお教えしました。次回は世界のもう半分、南側諸国について学んでいきましょう。