一日一事「世界びっくりグルメ紀行17 トブウシ」 グルメ作家 メーグルマン
キング・オブ・肉の変わり種を求めて
神庭の泉に塩と胡椒が流れ着いて以来、人類はあらゆる肉を食してきた。
しかし、いつの時代も肉の王者は決まっていた。牛肉である。
人類の歴史に逆らわずステーキ大好きな私は、エンタメ記者の一団にくっついて東魔境大陸のブモー諸島に降り立った。
島全体が自然保護区となっているブモー諸島には希少動物が非常に多く、家畜も珍しい動物を飼っている。
トブウシ
私の目当ては地元の人が愛してやまないという島牛、「トブウシ」である。地元民御用達のガッツリ系食堂にて、このトブウシのステーキを食してきた。
まずはトブウシの翼ステーキから。トブウシは翼が生えている小型の牛で、名前の通り飛ぶことができる。その翼の根元は島民たちのごちそうとなっているそうだ。
翼を支えていた根本っぽい部分が輪切りになって登場した。
焼き具合はお任せでレア。翼というと固い筋張ったイメージがあるが、実物は全く異なり非常に柔らかく脂身がほとんどである。
口の中に入れた瞬間に溶け消えてしまい、一枚間食しても胃もたれはしなかった。今まで食べた脂の中で、最もうまい。あまりにうまい。
グルメ作家としてそこそこの実績がある私だが、これはうまいとしか言いようがないのだ。
後から分かった事だが、トブウシの脂には脳の言語野の活動を一時的に抑える効果があるらしい(リラックスもする)。
地元の子供たちはテストの前には絶対に食べないのだとか。
今回の語彙力の無さは、トブウシのせい。そう思いたい…
グルメ作家・評論家 メーグルマン