PHM

PHMは北側大陸旧ボルドース食国家に所在していた、PH社の看板商品でした。

当社は食道楽に走りがちな食国家の他企業とは異なり、「食を簡便にすることこそが人類の進歩に与する」という社訓の下、完璧な栄養を備えた簡便な食品を発売してきました。

特異な社風から食国家の異端児とも呼ばれましたが、北側大陸の多くの労働者に愛される完璧栄養食品を次々とお届けしてまいりました。

そのなかでもPHMはもっとも当社の社訓を反映した商品として発売され、当社のアイデンティティともいえる存在に成長していきました。

パーフェクトヘルシー(社)PR記事より

ぴーえいちえむ

今はなき北側大陸で愛されていたお菓子。最近復刻したらしく、北側出身者に大人気。

PHMは略称であり正式名称、略さずにいうと「パーフェクトヘルシーもなか」である。もなか…最中。そう、このお菓子は最中なのだ。

北側大陸というところにかつて存在した国家群は、同じ思想信条を持つ人々が集まって国家を作るというちょっとアブナイ政治システムを採用していた。その中で、「食べることは人間にとって最も重要な営みだ」と考える人々が集まっていた国で作られたお菓子。それがこのPHMである。

PHMは「完璧栄養食品」というキャッチコピーで販売されている。「完全」ではなく、「完璧」。つまり、これだけで他の食事は必要ないほど完璧な栄養が摂取できるらしいのである。パッケージ裏の説明書きによると、「一日2つ、6時間以上の間隔をあけてお食べください。人体に理想的な栄養が過不足なく摂取できます」と書かれている。

味は最中という名に違わず、ゲロ甘あんこ味。チョコ味やクリーム味もあるが、全てゲロ甘である。

一日2個という制限ではほかにも食べたくなってしまうと心配になる方もいるであろう。しかし心配は無用。ゲロ甘すぎて一日に2つで胸やけするほどの満足感を味わえる。歯磨きしても甘い。

仕事に追われる生活をしている者には便利なのかもしれないが、栄養は取れても常食したら寿命が縮まりそうなお菓子である。

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